〜第五回活動報告『宮城県多賀城市・七ヶ浜町』〜

by Takahashi Isso

■準備段階および活動の目的

未曾有の大災害から1カ月半あまりが経過し、被災した地域や被災された方々の状況も、エリアによって温度差はあるものの、復興に向けて確実に前進していることはメディア等での報道でも周知されてきた。全国から集まった膨大な物資や義援金も、その配給システムがようやく形になり、被災直後の混乱から徐々にではあるが脱却し、被災地は復興に向けて次のフェイズに歩を進めたと言える。

それに伴い、ペットを取り巻く環境も、ようやく人々の関心の対象となり、被災地におけるペットに関する情報も入り始めてきた。

しかしながら、冒頭でも触れたとおり、復興のスピードはエリアによってそれぞれであり、ことペットに関しては、さまざまな保護団体が被災地に入って被災犬レスキュー活動などを行っているが、その活動内容に明確化されたルールが存在しないため、情報量こそ被災直後に比べれば増えたものの、まだまだ正確に状況を把握することが困難であるのが現状であり、今後も長期的な視野を持ってこの問題にアプローチしていくことが必要と思われる。

D・O・Gはこれまで4回に渡り被災現地に赴き、手探りではあるものの、その都度支援の対象や本当に必要とされている物資の選定、あるいはその先にある長期継続的な支援のカタチを、『イヌ』というフィルターを通して模索してきた。

それは、D・O・Gが震災前から一貫して掲げてきた、『未来のペットショップ』を創造するにあたってのアクションでもあり、このアクションが同時に『長期継続的な被災地支援』と密接にリンクしていると信じればこその活動であったと断言できる。

D・O・Gとしては、4度の東北行きにおいて得た貴重な経験とご縁とを、『未来のペットショップ』のコンテンツとなりえるカタチとして進化させ、いまだ復興スピードが加速出来ないでいるエリアに発信していくことを、今後の活動の指針として加えた。

そのためには、今の段階で漠然としているこれらのコンテンツを、前回までの活動で信頼関係を培ってきた多賀城市・七ヶ浜町エリアでより具体的かつ盤石なものにし、今後他のエリアに発信できるカタチとすることが、D・O・Gとしての活動第2フェイズにおける第一歩であると判断し、今回の目的地として設定した。

~D・O・G支援ターゲット~

支援① 犬と一緒に避難している『人』
支援② 避難所にいて、犬を他に預けている『人』
支援③ 犬を預かっている『人』

~Option~

支援④ 犬を失った『人』
支援⑤ 飼い主を失った『犬または動物』

~D・O・G情報収集活動~

リサーチ① 石巻以北エリアおよび福島県南部沿岸エリアの支援活動ベースとなる

場所の選定

リサーチ② 石巻以北エリアの現状把握
リサーチ③ 被災エリアごとに必要とされている物資の見極め
リサーチ④ 被災者自らが求めている『アクション』とはなにか
リサーチ⑤ D・O・Gが掲げる『未来のペットショップ』構想の一環として、被災地
に貢献・継続支援となりえるコンテンツの模索

~D・O・Gとしての目標

目標① これまで触れてきた方々との『ご縁』をより深め、信頼関係を構築する

目標② 物資運搬と並行した、新たな復興支援アプローチの模索

目標③ 石巻以北リアス式海岸エリアおよび福島県南部沿岸エリアへの継続的な

支援体制の確立

■4月26日(火)深夜、東京出発⇒仙台市荒浜地区

荒浜地区は、3月11日の地震後の大津波直後の報道において、錯綜する情報の中、『200~300名の遺体が打ち上げられている』と伝えられた場所である。震災以前は、のどかな海沿いの田園地帯であったが、海岸から高低差の少ないこの地区の特徴が、津波の影響をもろに受けてしまったと推測できる。

津波によって壊滅してしまったこのエリアではあるが、在京のある団体が、この場所に独自の仮設住宅群を作る構想を練っているとの情報があり、D・O・Gとしても何らかの形での参画できる可能性があるとのことで、七ヶ浜エリアに行く途中に立ち寄った。

この構想は、現在のところはまだ青写真でしかないが、もし実現することになれば、物的支援のベースキャンプとして、あるいは仮設住宅入居者とともに、『イヌ』と『人』との新しい視点での共存を発信できる場所として、大いに期待が持てる。今後、この構想を企画している団体と積極的に情報を共有しながら、D・O・Gとしての構想を具現化する可能性を探っていきたい。

■4月27日(水)七ヶ浜町代ヶ崎地区

前回・前々回と足を運んだこのエリアでは、在宅被災者の方々と『想いを込めた支援』を通じて交流した結果、信頼関係を築くことができた。今回は、D・O・Gとして、在宅被災者の方々に対して以下のアクションを提案することが目的である。

★在宅で出来うる『内職プロジェクト』の提供

★制作する技術料として、被災者が対価を受け取るシステムを作ること

被災したことにより、これまでやってきた職業の継続が難しい、もしくは前職に復帰するには相応の時間が必要な方々に対し、復興までの時間を有意義に過ごしていただきたいという意図で、この提案を持ちかけた。

対象となるのは主に主婦の方々で、『内職』をしながらでも就職活動や社会との関わりに負担のない程度のハンドメイドの商材制作を提案し、完成したものは、実際に被災者が制作したことを明確にうたい、被災エリア以外の日本各地で販売することが目標である。当面は、『イヌ』関連の商材制作を依頼する予定ではあるが、展開によってはその枠にとらわれずにカタチにできればと考える。

まずは、このエリアでシステムを確立し、他の被災エリアにも発信することができたなら、(小遣い稼ぎ程度ではあるかもしれないが)経済活動を伴う長期継続的な支援コンテンツとなりえるのではないかと期待する。

実際にこの企画を代ヶ崎エリアの方々に提案したところ、今後の展開に期待を持たせるに十分な反応を頂くことができた。

次回以降、被災者の方々にとっての心の糧となるようなシステム作りを提案できるよう、この企画をさらに熟考したいと考える。

■4月26日(水)七ヶ浜国際村避難所

前回の活動で訪れた際に、この避難所で生活を送られている方々に希望物資をヒアリングしていたので、それらリクエストを受けた物資をお届けする。物資自体の供給量は充実してきているらしく、この避難所でも、当面を生き抜く物資の充実というよりも、住環境の整備を求める段階に、被災者の方々の要望は移ってきているようである。

■4月26日(水)『ロッキーの森』にて物資お届け

ここでも、前回訪問時に必要物資のリクエストを受けていたので、お届けする。夜行性動物の管理のため発電機が必要とのことであったので、高橋の私物であったものをお譲りすることに。自然動物保護施設である『ロッキーの森』代表の武田氏が不在であったため、奥様に物資をお渡しし、当日中に再度伺うことをお伝えし、多賀城市で前々回からご協力を頂いている介護施設経営のAさんの元へと向かう。

■4月26日(水)多賀城市内の介護施設へ物資お届け

仙台に近いエリアである多賀城市も、急速に復興に向けて歩を進めていることが、道路を通過するだけでも実感できる。

以前より、D・O・Gが運搬してきた物資配給のご協力を頂いているAさんに新たな物資をお届けするかたわら、今後石巻以北エリアおよび福島県沿岸エリアへの支援を行うに当たっての、D・O・Gのベースキャンプとしてのご協力を仰ぐ。

当然、介護施設としての機能が本来であり、もしご協力を頂くことになったとしても、業務に負担のない範囲内でということはくれぐれもお伝えしておいた。Aさんは、前向きに検討してくださるようであるが、D・O・GとしてはAさんにご負担をおかけしないよう、最大限の配慮をしていくつもりである。

■4月26日(水)『ロッキーの森』武田氏とコンタクトするため、再訪

コンタクトの目的は、今後D・O・Gが長期支援を目的としたベースキャンプを仙台近郊に設置した場合、そのアドバイザーとして武田氏に協力を仰ぎたいと考えたからである。武田氏は、地域の自然動物の保護活動をしていることは前にも述べたが、氏の動物に関する深い見識もさることながら、その施設運営に当たって、EM菌を活用して環境や悪臭問題に配慮しており、D・O・Gが展開すべき今後の活動において、是非ご意見を頂きたいところである。

『ロッキーの森』の存続自体は周囲の状況も踏まえると現実的に難しいかもしれないが、D・O・Gとしても、何らかの形で武田氏のお手伝いをしたいとも考える。

■4月26日(水)『七ヶ浜町公民館』避難所へ

この避難所では、前回の訪問時に特別な物資リクエストを受けていなかったので、手持ち物資の中から犬用おやつを選んでいただき、それらをお渡しする。当避難所には、400名以上の方々が生活しているのだが、仮設住宅の建設はなかなかそのニーズには追い付かず、5月5日の第一回の仮設住宅入居抽選会では、わずか100戸ほどのみであり、以後についてはいまだ未定である。

この時点で夕刻を迎えていたので、今回も石巻周辺エリアの被災動物を管轄する『石巻動物救護センター』に行くことができず、帰路に就くこととなった。次回以降はぜひ、石巻以北のペット情報を入手するべく当センターとコンタクトし、今後のアクションに生かしていきたいと考える。

■今回の活動でできたこと

~D・O・G支援ターゲット~

支援① 犬と一緒に避難している『人』       ○
支援② 避難所にいて、犬を他に預けている『人』  ○
支援③ 犬を預かっている『人』          ○

~Option~

支援④ 犬を失った『人』             ×
支援⑤ 飼い主を失った『犬または動物』      ×

~D・O・G情報収集活動~

リサーチ① 石巻以北エリアおよび福島県南部沿岸エリアの
      支援活動ベースとなる場所の選定
     ⇒在京にて情報収集できることは積極的に行い
      七ヶ浜『ロッキーの森』や介護施設Aさんと
      連携を取りながら、具現化に向けて継続して
      努力するものとする。

リサーチ② 石巻以北エリアの現状把握
     ⇒今回の活動では不発。次回以降に積極的に
      情報収集を行うこととする。
         
リサーチ③ 被災エリアごとに必要とされる物資の見極め
     ⇒こちらの考えている以上に、被災者の要望は
      多岐であり、かつ詳細であることが経験則で
      わかってきた。今後、この経験を生かして
      いまだ支援を必要としているエリアへの
      アプローチに生かしていきたい。

リサーチ④ 被災者自らが求めているアクションとはなにか
     ⇒今回、D・O・Gとして在宅被災者に『内職
      プロジェクト』を提案させていただいた。
      こちらの予想を上回る反応を頂いているので
      早急にこのプロジェクトを具体化させ、システ
      ムを構築したいと考える。

リサーチ⑤ D・O・Gが掲げる『未来のペットショップ』
      構想の一環として、被災地に貢献・継続支援と
      なりえるコンテンツの模索
     ⇒『ペットショップ』の3つの柱である、
      Ⅰ.生体、Ⅱ.物販、Ⅲ.サービスそれぞれの軸に
      沿ったカタチで、被災地を含めた地域社会に貢献
      できるコンテンツを、青山での啓発活動等を
      有効に活用し、これまでどおり継続的に模索して
      いきたいと考える。

~D・O・Gとしての目標

目標① これまで触れてきた方々との『ご縁』をより深め、信頼関係を構築する
目標② 物資運搬と並行した、新たな復興支援アプローチの模索
目標③ 石巻以北リアス式海岸エリアおよび福島県南部沿岸エリアへの継続的な支援体制の確立

今回の東日本大震災により、地震と津波で甚大な被害を受けた東日本沿岸部の広大なエリアには、ひとくちに『被災地』という枠では括れないほどの、それぞれの地域性やそれぞれのニーズが、いわば被災者の数だけ存在し、しかもそれは刻一刻とそのカタチを変化させている。D・O・Gは、大団体の手が届きにくいそうした細かな被災者のニーズを、『イヌ』を通して探り続け、全5回に渡る物資運搬を軸としたD・O・Gの東北に向けたアクションにより、貴重な経験と情報、そしてご縁を得ることができ、一部の地域ではあるが、当初掲げた目標に一定の成果を見ることができた。

しかしながら、こうした被災者の方々が自分の足で立ち上がるには、経済活動を行うに当たってのハードの部分やメンタルな部分での支援の手がまだまだ必要であり、それは長期間に及ぶことは明白である。D・O・Gとしての支援ターゲットの『OPTION』事項にも挙げているが、『イヌを失った人』や『飼い主を失ったイヌ』に向けてのアプローチも、被災者の方々の足が復興に向かうためには必要なサポートであると思われ、D・O・Gがこれまで行ってきた支援活動と並行して、これらのアクションも進めなければならない時期に来ているともいえるだろう。

東北新幹線も全通し、東北地方へのアクセスも改善され、物流の整備も急速に改善されてきている。D・O・Gとして、今後は上記のような被災地の経済活動のサポートを『未来のペットショップ』構想を具現化する中で行い、またメンタル的なサポートも並行して、『イヌ』というフィルターを通し、『想いを込めた支援』という軸はぶらさずに、長期的に継続させていくアクションに力を注ぎたいと考える。

文責:村松